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ドライアイについて

「目がショボショボする」「目が疲れる」などの症状がある方はドライアイかもしれません。軽く考えがちですが、心身の不調や視力の低下を招くこともあるのです。

ドライアイとは?

ドライアイは涙の異常から起こる病気

涙は泣いたときや目にゴミが入ったときにだけ出るものではなく、つねに目の表面を覆って目の健康を守る大切な働きをしています。そのため、涙の分泌が少なかったり、質が低下したりすると、目の表面に涙が均等に行きわたらなくなり、目が乾燥する、ショボショボする、ゴロゴロする、疲れるなどさまざまな不快な症状が現れます。これがドライアイです。

ドライアイになると不快な症状だけでなく、目の表面に傷がつくこともあります。さらに、近年の研究では視力の低下にもつながることがわかってきました。

ドライアイのほとんどは失明につながるような重い病気ではありませんが、生活の質が下がることも多いので、軽く考えないことが大切です。

涙が目の表面に均等に行きわたらなくなると涙の層がでこぼこして、ものが見えにくくなります。

ドライアイに悩む人は推計2,200万人*1

近年、ドライアイの患者さんが増えており、日本での患者数は2,200万人*1ともいわれています。オフィスワーカーを対象とした研究では、全体の60%以上*2がドライアイかその疑いがあることがわかりました。

また、ドライアイに悩む人は女性のほうが男性に比べて多く、加齢とともにドライアイが起こりやすくなることもわかっています。国内で行われた40歳以上を対象とした疫学調査(Koumi Study*3では有病率は男性は12.5%、女性は21.6%でした。

中年以降の女性のほうがドライアイの有病率が非常に高いということがいわれています。

オフィスワーカーのドライアイ率

ドライアイの原因

スマホやコンタクトレンズ、ストレスも原因に

年齢とともに涙を分泌する機能が衰えるため、加齢にともなってドライアイのリスクは高くなります。しかし、現代社会はドライアイを引き起こしたり、悪化させたりする原因に満ち溢れているため、ドライアイは年齢に関係なく起こります。

主な原因の1つが、パソコンやスマートフォン、ゲーム機の使用です。画面を長時間見続けることでまばたきが減ると、涙が不足します。そのほか、エアコンによる乾燥、精神的なストレス、コンタクトレンズの長期・長時間の装用、夜型の生活、運動不足なども原因とされています。

また、シェーグレン症候群という免疫の異常から起こる病気や、抗不安薬、抗ヒスタミン薬などの一部の飲み薬もドライアイを引き起こします。

ドライアイを引き起こす原因

  • 加齢

    加齢多くの研究で、加齢とともにドライアイのリスクが高くなることがわかっています。

  • VDT(Visual Display Terminals)作業

    VDT作業パソコンやスマートフォンなどの画面を長く見続けると、まばたきの回数が減り、ドライアイが起こりやすくなります。日本で行われた研究では、1日8時間を超えてVDT作業を行う人の発症リスクは1.94倍*4と報告されています。

  • 空気の乾燥

    空気の乾燥冬は空気が乾燥するため、涙が蒸発しやすくなります。冬以外でもエアコンによる乾燥や送風に直接当たることがドライアイの原因になります。

  • コンタクトレンズ

    コンタクトレンズコンタクトレンズは涙の層をレンズによって2つに分けてしまうため、涙の層が本来より薄くなってドライアイが引き起こされるのではないかと考えられています。

  • 生活習慣の乱れ

    夜型の不規則な生活、食生活の乱れ、運動不足などがドライアイの発症に関係しているといわれています。

  • 喫煙

    喫煙海外の研究で、タバコを吸わない人と比べてタバコを吸う人にはドライアイの患者さんが1.82倍*5多いと報告されています。

  • 薬の副作用

    薬の副作用薬には涙の分泌を減らす作用をもつものがあり、抗不安薬や抗精神薬、抗ヒスタミン薬、利尿薬などの薬にはドライアイを起こしやすいものがあります。

  • シェーグレン症候群

    涙腺や唾液腺が免疫の異常によって攻撃され、強いドライアイやドライマウスが現れます。40〜60歳代で発症しやすく、圧倒的に女性に多い病気です。

  • スティーヴンス・ジョンソン症候群

    突然の高熱とともに、全身の皮膚や粘膜に発疹や水ぶくれが起こる病気で、重症のドライアイを合併することがあります。
    何らかの薬の副作用が原因として考えられています。

  • ストレス

    ストレス涙の分泌は自律神経の副交感神経が優位になってリラックスした状態のときに増えますが、ストレスのあるときは交感神経が優位になるため、涙の分泌が抑えられてしまいます。

涙の基礎知識

涙は油層、水層、ムチン層の3層構造

涙は上まぶたの裏側にある「涙腺」からまばたきをするたびに分泌され、目の表面に広がります。分泌された涙は10%*6ほどが蒸発し、残りは「涙点」から排出され、鼻のほうに流れていきます。

涙は「油層」と「水層」と「ムチン層」の3層構造をしています。外側の「油層」には涙の蒸発を防ぐ働きがあり、その油分は上下まぶたの縁にある「マイボーム腺」から分泌されます。

涙の大部分を占める「水層」は、目を潤して目に酸素や栄養を供給しています。そして、いちばん内側の角膜の表面にある「ムチン層」には、涙を目の表面にはりつける働きがあります。

このムチン層があることで、涙が目の表面に乗りやすくなっています。

涙は油層、水層、ムチン層の3層構造

涙は目の健康を守るために欠かせない存在

涙には、目の健康を守り、快適な視力を保つ働きがあります。涙の主な役割を知っておきましょう。

乾燥を防ぐ

目の表面を潤し、覆うことで乾燥を防ぎます。

酸素や栄養を供給する

水晶体とともにレンズの役割をする角膜は透明でなければならないため、血管が通っていません。そこで、角膜に酸素と栄養の一部を供給するのが涙の役割となっています。

感染を防ぐ

涙は目に入った異物を洗い流します。また、涙には殺菌作用のある成分が含まれており、外から侵入する異物や菌などから目を守る働きをしています。

目の表面をなめらかにする

目の表面をなめらかにすることで、くっきりとした画像を脳に届けることができます。

ドライアイの種類

涙がたりないだけじゃない、脂のたりないドライアイ

ドライアイは2つのタイプに分かれる

ドライアイには、涙の量が少ない「涙液減少型」と涙の質の低下によって起こる「蒸発亢進型」の大きく分けて2つのタイプがあるとされていました。しかし最近では「蒸発亢進型」は「BUT短縮型」というより大きな範疇に入ると考えられるようになってきました。かつてドライアイは涙の「量」の問題と考えられていましたが、現在はドライアイの大半が「涙の量は保たれているのに、目の表面にとどまる力が弱い」ことによって起きていることがわかり、「涙の質の低下」がキーワードとなっています。

涙の質の低下から起こるドライアイの中には、涙の分泌は正常なのに、涙が5秒以内*7に乾いてしまう「BUT短縮型ドライアイ」があり、パソコンなどの作業が多い職業の方やコンタクトレンズを装用している方を中心に増えています。

ドライアイの症状と関係が深い「MGD(マイボーム腺機能不全)」

涙の質を低下させる病気として、マイボーム腺の機能が低下して脂が足りなくなる「MGD(マイボーム腺機能不全)」があります。

ドライアイの症状を訴える患者さんの8割以上*8は、このMGDが関与していることがわかっています。

マイボーム腺

ドライアイのリスク

放置すると視力が低下するおそれも

ドライアイの症状を対処しないでいると、「視力の低下」につながることがあります。

ドライアイになると目の表面に涙が均等に行きわたらなくなり、表面がでこぼこします。すると光が乱反射して目の中に入るため、画像が乱れ、ものがぼやけて見えるようになります。

ドライアイの症状:ものがぼやけて見えるように

感染症のリスクや心身の不調を引き起こすことも

涙は外から侵入する異物を洗い流す働きや感染を防ぐ成分によって目を守っていますが、ドライアイになると角膜がウイルスや細菌に感染し、炎症を起こしやすくなります。

ドライアイによる「精神面への影響」も見過ごせません。目の疲れや不快感などが肩こりや頭痛、集中力の低下などを引き起こし、心身の不調につながることがあります。

ドライアイが疑われる症状がある場合は早めに眼科を受診し、重症化させないようにしましょう。

早めに眼科を受診